男の立ち位置 夜叉 [本・映像感想]



久しぶりに「夜叉」を観ました。いまだに最も好きな邦画です。日本海の荒波にひっそりと暮らす男”健さん”。この小さな街にやってきた訳ありの女によって断ち切ったはずの過去にまた一歩踏み込む健さん。そして戻る健さん。けしてブレてるわけではありません。その瞬間のすべてが本気の男の軌跡。それだけですべてを語ってしまう健さんの立ち姿。超望遠で映しこむ日本海の荒波と冬の浜、日本にもこんな迫力の光景があるんだ・・・。そしてなんといっても田中裕子が切なく美しい。ラストは彼女が夜叉に見えるし・・・、なんとも見事。

ボンドの過去 007カジノ・ロワイヤル [本・映像感想]






地上波でもいよいよ登場、ダニエル・クレイグの007。彼のジェームズ・ボンド、はっきり言って最高です。私はピアースブロスナンのボンド世代。彼のゴージャスでどこか3枚目な絶妙バランスが大好きだった。バリッときめたスーツで戦車を操縦、それもハッチから上半身出したまま・・・。さんざん暴れた後も着ていたシャツは真っ白なまま。そんなダンディーボンドから突然野性味溢れ人間臭いダニエルクレイグへチェンジ。聞いたときはもの凄く心配だった。「ミュンヘン」の彼は単なる田舎っぽいヨーロッパ人の雰囲気。ところがカジノロワイヤルではうって変わっていい男だ。アストンマーチンを駆って海辺のリゾートホテルにチェックインするさりげない仕草のひとつひとつが見事にセクシー。オープニングはまるでタランティーノ映画を思わせるバイオレンスとノワール感。一気に引き込まれながら澱みなくいつもの”振り向きざま発砲”の決めのポーズに流れていく見事な演出。おまけにオープニングテーマも60年代風ウルトラセブン風のアニメーションと影絵で実にかっこいい。ストーリーもボンドのマジな恋愛と”ダブルオー”に至る過程をさりげなく描いたせつない系の私好み。続く慰めの報酬まで合わせて私の最も好きな映画ランキングに急上昇した”007”だった。




プロフェシー モスマンの黙示 [本・映像感想]



不幸な事故に至る過程で現れる大小さまざまな啓示、私も心のどこかで漠然と信じているかも。夜中の地震直前に目が覚める、飛行機事故は連続すること、周囲で風邪が蔓延するときの澱んだ空気感・・・ってちょっと小さいか。いずれにしても現象をモスマンとして擬人化した人々の気持ちよくわかる。この映画、ヘタすれば”トンデモ映画”になりそうなテーマを、テンションぎりぎり抑えた演出とリチャードギアの誠実な雰囲気で見事に踏ん張りきった絶妙なサスペンス。「愛と青春の旅立ち」のギラギラ感がすっかりジェントルに変わって根底ナイスガイに納まったところ、マイケルダグラスとの大きな違いなんでしょうな。彼に狂気は感じませんからホラー系SF系サスペンスでリアリズムのアンカーをガッチリかまして、ぜひM・ナイトシャマランの映画に出て欲しい。さらにこの映画、ヒロインのローラ・リニーがとっても素敵です。今まで意識しませんでしたが「ミスティックリバー」のショーンペンの奥さんだ。ある意味原始的な芯の強さ、善悪超越した覚悟を悪気なくサラッと見せる稀有なキャラ。60年代後半生まれ、私と同世代でこの魅力か・・・。リチャードギアとローラ・リニー、ラブストーリーではないのに切ない感じが滲み出る、こんな映画大好きです。



内戦の果て・海賊たちの海 ~ブラックホークダウン~ [本・映像感想]





ソマリア・モガディシュの戦い、90年代前半ボスニア紛争に埋もれがちだった戦争報道にあっても、数名の米兵がモガディシュ市中に住民によって吊るされたニュースは衝撃的で、ソマリア紛争は鮮明に記憶に残っています。以降米軍が地上戦に先駆けてミサイル・航空機戦を徹底していくターニングポイントになった紛争だとか。それから15年、未だ内戦状態のソマリアの沖に、海賊退治で自衛隊が出かけることになるとは。アイディード派が台頭するまでは日本も輸出用漁業者を援助し、紛争後職を失った彼らが現在の海賊と化したとでもいうのか。テロとの戦い同様、ソマリア奥深く引きずりこまれる未来が目に浮かぶよう・・・。映画ブラックホークダウンはこの後味がなんとも重い。若くて威勢のいいジョシュ・ハーネット、オーランド・ブルーム、エリック・バナ、ユアン・マクレガーと錚々たる面々のヒーロー路線かと思えば、やけにリアリズム効かせて”男映画”とも割り切れない。そして後方をビシッと引き締めるのはミスターストレス顔、サム・シェパード。シチュエーションが悪い方に転がるように傾いてく絶望感は彼の顔色一つですべて表現されてます。ほかにも”永遠の鬼軍曹”トム・サイズモア、車両部隊引き連れお約束の太い首撃たれても再出撃のタフさ健在。さらに驚きは”マルフォイのお父さん”ジェイソン・アイザック・・・、ルシウス・マルフォイばりに階級主義的ながら、キッチリやることはやる名レンジャー指揮官スティール大尉だ。それにしてもこの内戦30年の混沌のアフリカって正直原始的すぎるだろ。日本や東アジアの地ならどの時代でも自己犠牲の志士が出現するもんですが・・・。こんなところにわが自衛艦隊が近づいて大丈夫なんでしょうか。



ヨーロッパで最も恐れられた男 マカロニほうれん荘 [本・映像感想]




うーむ、マカロニほうれん荘です。私にとってコミックの原点はこれですな。ブームの頃には若干若すぎた世代ではありますが、兄姉に影響されたマセガキから飛び火して、小学生の間でもけっこう流行ってました。街の模型屋のショーウィンドーに飾ってあった京商ファントムのボンネットに実に上手いトシちゃん25歳の横顔が描いてあったりして・・・。教室では”うひょひょー”、とか”すっぽんすっぽん!”とか・・・。70年安保・成田闘争以降、バブルを挟んで隆盛する日本版ネオコン世代にとって、子供時代にガッチリ植えつけられた原点はこれ、「キンドー・膝方のいる光景」。203高地、広瀬中佐、ドレッドノート、桜花、スコルツェニー大尉、連合艦隊に敗北なし・・・、と70年代の密かな「自由主義史観」「つくる会教科書」だったのかも知れません。昨今の大恐慌に加え、新型インフルエンザや大地震なんて続いたら昭和10年代を繰り返す下地は十分ありますぜ。それにしてもサブタイトルはとっても良かった。華麗なるアイスコーヒー、45口径の枯葉、分身No5のオーロラ、聖夜の大行進、12月の甘いワナ、銀嶺の覇者・・・などなど。さきほどショックなことに気付いたんですが、本棚に5巻が見あたらない・・・、いつからないんだろ。



おやじの背中 サイン M・ナイト・シャマラン第6の世界 [本・映像感想]





うーむ、大好きです。Mナイトシャマラン。世界が宇宙人の侵入を受ける事態を、牧師一家の視点でとらえた不思議な世界。美しい田園の風景の中で静かに事態は進行、異常な状況を粛々と物語が進んでいくところシックスセンスやアンブレイカブルを思わせる。非現実的な内容を身近にしリアリティを持たせます。そして、怖い。弱さを見せる普通の男、信仰を捨てた牧師の中に、かつての強い父を必死に探す少年。これもシックスセンス、アンブレイカブルの少年とおんなじだ。牧師である兄を父親のように慕う挫折した野球選手の弟ホアキンフェニックス。そして”事態”の中、父親であろうとする牧師本人。Mナイトシャマランの普遍のテーマ”父親探し”だ。まさに男心の第一人者の面目躍如ってくらいです。すべての物事は必然であり、意味がある。オープニングからエンディングまで散りばめた糸くずが整理され1本に繋がっていく見事な演出。この世をかたち作る必然・運命が神というものなのか・・・。そして牧師は再び信仰を取り戻す。ブルースウィルスのように前作までも演出に計算するMナイトシャマランにしてはメルギブソンで本当にいいのかよって正直思ってました。しかし結果最高、大当たりでした。すっかり大人になったな、メル。そしてなによりホアキンが素晴らしすぎる。悲しみを抱える孤独な大人を見事に演じてました。思えばグラディエーターの皇帝も孤独だったしホアキンの真骨頂だ。アブナそうな雰囲気が滲み出てるところなども彼の右にでる者無し。父親になるあなた、Mナイトシャマランの世界お勧めします。無視してきた思い・・・、気付くだけでいいんです。

涙の斬れ味 壬生義士伝 [本・映像感想]

私の場合、高校、大学時代と割と読書好きで、週2,3冊ペースで読んでましたが、社会人になって車で通勤するようになってからすっかり読まなくなりました。というのも私が本を読むのはたいてい電車。5年前には東京の会社に出向して往復2時間かけての電車通勤になり、この時は久しぶりにたっぷり読書を楽しみました。週末は図書館行ったりブックオフで本買いまくってウィークデーに備えたり。この頃三十過ぎのとっつぁんになった私の好みはすっかり歴史小説に変わって、司馬遼太郎読んでは”日本を変える”って国家を語り、藤沢周平強化月間では市井の一サラリーマンとしてこだわりの仕事振りに徹しようと決心、北方謙三歴史ハードボイルド週間では”お前と組んで良かったぜ”なんてほざいたり。田舎のサラリーマンが会社背負って霞ヶ関に出てきてつんのめりながら過ごした2年、行き帰りの電車の中でサムライの生き方にはげまされました。しか~し、そんな気概も吹っ飛ぶ男の涙の伝道師が実はこれ、浅田次郎。けして月曜の朝に読んではいけません、泣きたい夜にこそ似合います。”鉄道員””角筈にて”、そしてこの”壬生義士伝”。涙で夜の景色が滲んでた。江戸川越えたあたりで不覚にもボロッと垂れたこともありました。春の花粉のせいにして、ハンカチを思いっきり目に押し付けた夜もありました。特に私の3大弱点シーン。脱藩する貫一郎と幼い娘の別れのシーン、自分と娘に重ね合わせてもうたまりません。そして函館の戦いに挑む長男嘉一郎、脱藩した父親の咎を一身に受けて微動だにしない潔さと最後のメッセージがせつなすぎ。3つ目は藩の汚名を背負って処刑を待つ身の大野次郎衛のところに必死で面会に来る老いた母親のシーン、中間の佐助さんあんたもえらいよ、まったくもって男はみんなそんなもんさ。そしてそして鋼の斬れ味シーンも侮れません。突きを繰り出す永倉新八を半身下がってかわして間髪入れず鋭い横面を斬り返す吉村貫一郎。首が吹っ飛んだかと思った瞬間、それをなんとか刀の棟で防ぐ永倉新八。刃金のきらめきとガツンとしびれる震動までリアルに想像させる見事な斬り合いシーンです。思えば20代の頃、主義主張にこだわったり、ニューアカブームで浅田彰だ中沢新一だのとちっともおもしろくない本選んだりしてましたが、最近はすっかりエンタメ重視、司馬遼太郎と藤沢周平同時に読んでもすっかり楽しめる四十間近の私です。
LAコンフィデンシャル 暗黒のLA [本・映像感想]




うーむ、LAコンフィデンシャル、何度観てもおもしろい。J・エルロイの暗黒のLA4部作、ベトナム以前の繁栄と栄光を謳歌する50年代のアメリカ。スーツのダンディガイに美しく華やかな女性、露出オーバー気味に映したまぶしい街並み。一方、暗黒の夜の凄惨な事件は病んだ現代と変わらない光景。貧しい黒人の生活と警察の腐敗。レトロクラッシックな光景の裏に潜むとてつもない悪とのコントラストが恐ろしい。そしてラッセルクロウ、とにかくいい味出してます。まさに”ド怒り炎之介”って感じの熱いキャラ。怒りに震える手で椅子の背もたれへし折って飛び出すシーン、特攻野郎ラッセルクロウの真骨頂。対照的なガイピアースの”エド”と”バド”の名コンビが泣かせます。キムベイシンガーはとにかく美しい。もの静かな大人の落ち着きが稀有なキャラ。”あなたは世界を手に入れ、彼は元娼婦といっしょに故郷に帰るわ・・・”って彼女しか出来ないな、この役。ほんのりじんわり、見事なラストシーンです。


ラブストーリークラッシック 恋人たちの予感 When Harry Met Sally [本・映像感想]




うーむ、アクション映画/サスペンス映画が好みの私ですがこの”恋人たちの予感”、あまりにスウィートな映画にもかかわらず大好きっす。そしてちと恥ずかしい。友だちと恋人の距離感を行ったり来たりなんていうラブストーリークラッシック。とにかくメグライアンが魅力的、まさに全盛期ものすごくキレイです。そしてビリークリスタル、よくある外国のコメディー系デーブスペクター系の違和感あふれまくりの印象が、物語の終わり頃にはすっかり消え去っていつの間にか感情移入。今ではアナライズミーとかファーザーズデイとか彼に惹かれて観た映画も数多い。キャリーフィッシャーもいい味出てる。共和国のお姫様と同一人物とは思えませんな。そしてこの映画、二人の表情のアップを追いかけるどこか懐かしいカメラワークがすばらしい。さらにニューヨークの街がとっても美しい。秋から冬に近づいて、クリスマス大晦日と寒い街に暖かそうな灯りが燈り賑やかになってくると”恋人たちの予感”また観たくなってきます。今年もシーズンがきましたな。銃弾が一発も飛び交いませんが面白いですぜ、大将!


華麗なる賭け 60年代のセレブな世界 [本・映像感想]





ウーム、華麗なる賭け、かっこいい。なんたって私の大好きなマックイーン。いつもの男くささ、タフさ、ガキ大将な感じとは異なる魅力、セレブなマックイーンです。全編ミシェルルグランのかっこいい音楽が流れ、画面を分割して同時に異なるシーンが映ったり、とにかくオシャレに徹した表現。グライダーで大空を舞いながらノエルハリソンの”風のささやき”がかかるところなど名場面中の名場面。この映画をはじめて観たのは80年代の終わり頃、世はバブル真っ最中、しかし私はその恩恵をまったく受けない10代の貧乏学生。そんなとき”華麗なる賭け”の華麗な世界は心底衝撃でした。いくらバブルの日本でも、ドンペリで手を洗っても、現在の贅沢って彼らに比べたらこっけいでみみっちい・・・って思っちゃいました。グライダー、ポロ、海辺でバギー・・・こんな世界が私の生まれる前だ。暖炉の別荘でチェス・・・なんとかっこいい、私なんか”きったない研究室のパイプ椅子で将棋”って世界なのに。そしてヒロインのフェイダナウェイが美しい。俺たちに明日はないのボニーパーカーとはまったく違うゴージャスさ。ジャガーEタイプのコンバーチブルで微笑んでました。ビーチハウスのテラスにもたれて微笑んでました。そして最後に見せる弱さがたまらない。リメイクのトーマスクラウンアフェア、レネルッソが演ってましたがまったくぶち壊しです、残念。トーマスもビッキーも、現在演れる人、思い浮かびませんな。




アッパレ!男映画 プライベートライアン [本・映像感想]




うーむ、プライベートライアン、ど迫力。すいません、意味や思想はありません。嫁さんはこの映画、どちらかといえばキライ。ブッシュ大統領の”もっとも好きな映画はプライベートライアン”というコメントが信じられないとわが家では話題沸騰。ブッシュはどこをどうとらえて好きと言ったのか、愛国心か自己犠牲かイデオロギーか・・・と嫁さんは非難の嵐。私はブッシュの好みひそかにわかる気がします。なんたって”男映画”、それ以上でもなくそれ以下でもない。映画”めぐり逢えたら”でトムハンクスが女性の映画の好みをちゃかしてたシーンといっしょ。瓦礫を乗り越え襲いかかるタイガー戦車、20ミリ機関砲のすさまじい破壊力、トムサイズモアが着てたジャンパー、救世主P-51・・・あのときマットデイモンが投げた60ミリ迫撃弾がドイツ兵に当たって・・・ううっ、思い出しただけで涙が・・・ってぐあい。そういえば昭和50年代、30代後半だった親父も”遠すぎた橋”とか”ナバロンの要塞”身を乗り出して観てたな。秋の夜長、時代を超えて男たちが熱いっす。しかしトムサイズモア、鬼軍曹演らせたら右に出る者無し、現代のアーネストボーグナインだ。こうなるとリーマービンも欲しいな。


マイアミ・バイス やバイッス! [本・映像感想]




マイアミバイス06年映画版、良かった・・・。カッコよさダントツさ。コリンファレルのクロケットも切なさ潔さいい味出てた。そしてなによりジェイミーフォックスのリコタブス、最高でした。コラテラルの時といい今回といい、知性と品の良さが滲み出てかっこいい。彼しか出来ない役はこれから多いんじゃないでしょうか。そしてコンリー、大貫禄だ。哀しさも見事。ボンネットに映し出すネオン、オレンジの街路灯が輝く夜の都市、準備段階の緊張から撃ちあいの金属の弾丸の重量感まで、相変わらずのディテールこだわりまくりのリアルさ。夢でうなされそうな迫力だ。MTVのようなテンポの良さも健在、20年前とちがうのはラップ調ってくらいか。巨悪は逃げ切ったりして得意の展開。今思うとつくづく80年代のマイアミバイス、相当な出来の良さだったんですね。こうなると2、3と期待したくなる。そしてテレビシリーズ観たいっす。テレビ東京のコピーも凄すぎる。マイアミ・バイス!やバイッス!っていったい・・・。



レトロハワイ 地上より永遠に [本・映像感想]





ハワイを舞台にしたクラッシック映画の名作、地上より永遠に、いい映画です。オアフ島スコフィールド基地に配属された元ボクシング選手の1兵卒を中心に、パールハーバーアタックにいたるまでの軍隊生活を描き、まるで日本軍なみの非人道的な厳しさ、アメリカでも軍隊は似たようなものなのかと驚かされました。デボラカー、ドナリード、バートランカスターが大人の魅力でかっこいい。そしてこの題名、日本版の題名の素晴らしさ、地上の楽園をうまく表現して哀しみまでも漂わす見事な和訳。それになにより背景に映る50年代前半のハワイの風景、なんとすばらしい、ワイキキビーチにはロイヤルハワイアンとモアナサーフライダーが確認できるだけ。モアナサーフライダーにはすでにダイアモンドヘッドウイングが出来上がっててびっくりです。そしてフランクシナトラやモンゴメリークリフト、ガッツリ男臭さただよわすアーネストボーグナインまでがさらっと着こなすアロハシャツ、最高にかっこいいっす。アカデミー助演男優賞に輝いたフランクシナトラ、見事です。この役を射止める過程はゴッドファーザーのジョニーフォンテーンの馬の首のエピソードのモデルとなってるそうです。さすがハリウッド、現在となってはダークなエピソードまでスケールが段違い。


役者ばか ゲーリーオールドマン [本・映像感想]
波乗りの島 片岡義男 [本・映像感想]
上田次郎 なぜベストを尽くさないのか トリック [本・映像感想]


トリック大好きです。はじめは興味無かったんですが、長男が喜んで観てるのにつられてすっかりはまりました。なかでもこの上田次郎、見事なキャラです。こんなヤなヤツめったにいませんぜ。ところがこれが私の職場にはけっこういるんだ、そっくりなヤツが。傲慢で負けず嫌いで自慢したがりで手柄はなんでも自分のものという信じられないくらいベタなヤなヤツ。しかし上田次郎はそれでも憎めない、なぜなら彼はベストを尽くす男。この男の原動力は彼の座右の銘、”なぜベストを尽くさないのか”に集約されます。人一倍負けず嫌いの男が負けないためにあらゆる状況でとにかくベストを尽くす、3の線をおもいっきりつっ走るキャラだがベストは尽くす、こんな力ずくの部分が滲み出て、そこがまた笑っちゃう。その一方で男の悲哀が身につまされる。社会の中で必死にジタバタ走る自分の姿に重なって笑ってられない。私も中堅になるにつれピンチの度合いも増して、さすがの馬耳東風も最近は沈没間際の綱渡り。そんな時は心の中で”なぜベストを尽くさないのか”そして”ベストーっいっぱーつっ!”と叫んでるのさ・・・。しかし阿部ちゃん、見事に突破しました。すばらしい俳優です。

スナイパーの目 スターリングラード [本・映像感想]




独ソ戦の天王山スターリングラードの攻防を描いたこの映画、独ソ狙撃兵互いの威信をかけた息詰まる対決、見事です。プライベートライアンの狙撃兵、ジャッカルのアジア系の狙撃兵、シュリの頚椎を撃ち抜く工作員などなど狙撃兵って強い印象に残ります。じっと狙いをさだめる静寂、銃声のはるか前にあがる血しぶき、互いに場所を悟られないように繰り広げられる駆け引き、静と動のドキドキする展開が映画むきなんでしょうね。ソビエトの独裁者の名を冠した都市をめぐる攻防戦のなか、理想とイデオロギーのために戦う政治将校と、ウラルの羊飼いだった射撃の上手い一兵卒。友情と嫉妬が絡み合い、持てるものと持たざるもの、才能の不平等、共産主義の矛盾を突いてストーリーに深みをあたえます。しかしジュードロウ、旧式のモシン・ナガンライフル構えてかっこいい。端正な二枚目が日常の素朴な表情と狙撃兵の冷徹な視線を演じ分け見事です。ケーニッヒ少佐のエドハリス、相変わらず実直な仕事人、まさにケーニッヒって感じ・・・淡々と狙撃して機械の様な冷酷さ。ヒロインのターニャはとってもかわいい。どっかで見たなと必死に考えてたら思い出しました、ハムナプトラのヒロイン、レイチェルワイズでした。基本性能高いクラッシックな戦争映画としてスターリングラード、見ごたえ十分です。


スパイダーマン2 大いなる責任 [本・映像感想]





スパイダーマン2、大好きです。スパイダーマンシリーズ、存在は知ってましたがクモ男のどこがかっこいいんだよ、なんて否定的に思ってたくらい。それがトビーマグワイアのスパイダーマン観てぶっ飛びました。CG駆使したアクションとスピード感はもちろんド迫力、圧倒されます。しかしそれだけではないドラマに惹かれます。まるで80年代のコミックの青春ストーリーを観てるみたい、ひとりの男として成長していくピーターの姿、ヒーローものとは思えないほど共感をおぼえます。グリーンゴブリン、ドクターオクタビアスとの死闘は迫力満点、そして高校大学生活、家族との関係、ハリーとの友情、メリージェーンとの恋愛、これらのエピソードがさりげなくストーリーに幅を持たせ、泣かせます。おばさんとのやりとりは特に私の弱点だ・・・また泣いてしまった。1、2共通のテーマ、大いなる力を持つものは大いなる責任をともなう、ってまさに世界中で暴れまくってるアメリカの論理だ・・・と複雑な思いを持ちつつ、確かに組織や社会、人が集まればそれは真実だし必要な論理なのか。メリージェーンのキルスティンダンスト、不思議な魅力です。とびきりの美人じゃないけど惹かれちゃう、目つきは据わってるに近いほどクールな感じだしキルスティンってすごい名前だ・・・。そしてトビーもキルスティンもクールな演出がピッタリ、ふたりのラブシーン観てても恥ずかしくないしかっこいい。日本人の感情の発露を観ているかのようだった。それにひきかえ海猿とか日本沈没のラブシーン・・・恥ずかしいっす。




ゲッタウェイ ストイックの美学 スティーブマックイーンの世界 [本・映像感想]






ゲッタウェイ、大好きなマックイーン映画の中でも最も好きなひとつ、全映画の中でもベスト5不動の名画です。体格や容姿に恵まれているわけでもない男がひとり、どんなマッチョな超人よりも男くさくてカッコいい。21世紀ではこの感じ生ナマしさとてもだせません。70年代特有のリアリズムがいい。向き合って立ち会う男ふたり、サイドバイサイド、分厚い防弾チョッキでふくれるコートを着込んで仁王立ち。でっかい口径の拳銃を無言で発射し続ける、反動で銃を握る手首が後方に跳ね返る、そして吹っ飛ぶ大男、シンプルで力強いアクションに圧倒されます。絶望的な状況でお互いの大切さを知り愛を確かめ合うふたり、アリ・マッグロー美しすぎる。初期の頃の峰富士子ってこんな雰囲気でした。ふたりを追う悪党一味は怖いんだか笑っちゃうんだかでビミョーな感じ、大男6人で1台のキャデラックに乗り込んで窮屈そうなところ笑っちゃいます。ベンチシートコラムシフトのフルサイズセダンの時代です。冒頭の悪玉のボスとのやりとり、サンアントニオのリバーウォークが美しい。私にとっては14年前のハネムーンの地で懐かしいっす。映画の悪玉のようにスーツにカウボーイハットの人、街中に普通にたくさんいました。ジーンズもたいていラングラーのブーツカット、スラックスのように脚の正面縦にアイロンかけてバッチリスジ入れるのが当たり前、リーバイスはいてる人は観光客くらい。テレビでもウエスタンスタイルの人たちがカントリーにあわせて踊る番組をひたすら一日流す局とかありました。みやげにカウボーイハット購入し成田までかぶってきましたが、空港に降りたとたんに違和感を感じました。現実に引き戻された瞬間でした。ブーツカットのジーンズは帰国後丈詰めしたらストレートになっちった・・・ショック。90年代のリメイク版はもっとショック、アレックボールドウィンのドクはゲイみたいだし、キムベイシンガーのキャロルは娼婦のよう・・・いと悲し。




パラダイスキング クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル [本・映像感想]




パラダイスキング、見事です。私が出合ったヒールキャラの中で最も気に入ってしまいました。子供たちには品がないから観ないにしなさいと避けてきましたがクレヨンしんちゃん、友達が観てるからとかいろいろ言い訳しながらすっかり毎週観てるし映画まで観てる。本日は「嵐を呼ぶジャングル」いっしょに見させられてすっかり私も魅入られてしまいました。なんといってもこのキャラ、悪役パラダイスキング、アクション仮面と戦う姿勢、ヤツの主張、私じゃないか・・・普通の欲望溢れる大人だよ。特に最近活躍してる起業家、ヒルズに住んでフェラーリ何台も持ってるやつそのままだ。強いものが勝つ・・・最近は当たり前のようですが本当にこれでいいのか若干気になる・・・・子供の頃の私だったらしんちゃんと同じ、はっきりノーと言えたんだ、月日は人も社会も変えて私も変わったのか・・・。相変わらずのお下劣も頻発しますがしんちゃんの映画、良質なところもけっこうあるんです。大人帝国の逆襲も哀愁溢れる見事なつくりでした。戦国大作戦なんか本格的時代考証で大河ドラマもかなわぬリアリズム、そして切ない恋と別れのストーリー、日本映画としてはめずらしくすっきりさりげない演出でかえって泣かせてくれる、削りに削っていいとこ搾り出す日本映画の最も苦手な演出がばっちり決まってる。宮崎アニメだけおしてて本当にいいんですかとつくづく考えさせられる大人向け映画マニア向けの主張もくっきりの深ーいテーマを持った良作シリーズでありました。クールだぜ、しんちゃん・・・、おっとパラキン、あんたもクール。


デイル・クーパーの世界 ツインピークス [本・映像感想]






ツインピークス大好きです。90年代初め頃、新社会人で毎日0時、1時まで働いていた時でさえ、帰ってから夜中夢中になって見てました。デイルクーパー捜査官、その行動、考え方、こだわりの嗜好すべて衝撃、大ファンです。日々のなんでもないコーヒーも美味いと感謝して、なんでもない田舎のダイナーのチェリーパイ、世界で最高だと感動し、沈着冷静、目的を失わない、木をみて森も見る、20代前半の私はかなり影響を受けたかも。ダイナー”ダブルR”こんな店行ってみたいと思いました。デビットリンチの映画らしく女優さんたちはみなちょー美しい、特にダブルRのノーマさん、憧れでした。そしてクーパーと恋に落ちるアニー、美しすぎる。へザーグラハム全盛期でしたね、この後のどんな映画でもツインピークスほどは輝いてなかった。このツインピークス、リンチワールドの集大成と言っていいんでしょう、ブルーベルベットもワイルドアットハートもマルホランドドライブも行き着く先はツインピークス、日常と闇、闇の世界の恐怖ここに極まれり、クーパーさえも生き残れない。しかしウインダムアール、怖いんだか笑っちゃうんだかビミョーなキャラでした。深い森の奥には何かいますよ。




トゥルーロマンス 90’sボニー&クライド [本・映像感想]



トゥルーロマンス、この甘い題名からかけ離れたアクション&バイオレンス。☆☆☆☆☆
タランティーノ脚本らしく見事なほど典型的なタランティーノワールドが展開されます。クラレンスとアラバマ、90年代の「俺たちに明日はない」の世界は、はじまって5分とたたないうちに絶望的なラストが待ってる予感ひしひしって感じです。そしてラスト、国境を越えた二人、夕日のメキシコ・・・カンクンかな・・・アラバマの言葉がいまだに私の胸に突き刺さる・・・男は甘えるなってさ。この映画でカンクンはじめて知りました。このあとプチカンクンブーム、会社でもハネムーンにカンクン行った人いました。私も行ってみたいけどあまりにも遠すぎて・・・。クラレンスってアメリカ映画ではめずらしいタイプのモテないブラザーズのヒーロー、普通の男、保守主義、プチオタク、群れない、キャデラック好き、度胸だけが自慢、ときて私が最も親近感をおぼえるタイプです。ラブ&バイオレンス部門1位不動、星5つ。


兄 ロバートブリッジス 特捜刑事ナッシュブリッジス [本・映像感想]



ナッシュの兄ロバート、フットボールの花形選手でナッシュの憧れだった存在、ベトナムで行方不明になって25年ナッシュにとっても家族にとっても常に忘れられない存在。兄から預かった71年式のクーダをいまだに大切に乗ってます。捜査に使って思いっきり撃たれたりしてるけど、飲まない食べない汗かかないなどクーダの規則があったりして笑わせてくれます。第3シーズン38話、そんなロバートがサンフランシスコの麻薬事件がらみで東南アジアシンジケートの関係者として突然現れます。ロバートを追うナッシュ、狙撃事件の現場ですれ違う二人。チャイナタウンの裏街でほんの一瞬語り合うナッシュとロバート、泣かせます。永年あこがれ続けても、現実はお互いの立場を換え、はじめてナッシュは乗り越えるべき存在を乗り越えたのか。ナッシュの全6シーズンを通して最も印象的な回でした。それにしてもロバート=ジャンマイケルビンセントだよ・・・、そういや雰囲気ドンジョンソンに似てるな。高校時代「超音速ヘリ・エアーウルフ」夢中で見てました、懐かしい~。


結末 ゴッドファーザー3 [本・映像感想]



かの名作三部作、愛に満ち荘厳で非情な世界にしびれたお父さんは多いでしょう。夜の国道51号線で「愛のテーマ」のクラクション鳴らして走り抜ける”族”の若造もよく見かけました。その評判をみればパート1、パート2が圧倒してるようです。その世界観、重厚感、完成度いずれもⅠⅡは文句なしです。しかしそれでも私はパート3が好き、なぜならせつないから、そして泣けるから。ソフィアコッポラ、私は好きです。賛否両論あるようですが、あの表情、10代の一途させつなさを見事に表現してました。オペラ座の銃撃シーン、壊れるマイケルコルレオーネ、衝撃でした。何度観ても涙ボロボロ。アルパチーノのあの表情が泣けるのはソフィアコッポラの純粋さが際立ってたから、マイケルが望んだものを彼女がすべて持っていたから。そしてとうとうマイケルの人間的な部分、弱さがでてました、このⅢがあってこそⅠⅡがまたいいんです。


アウトオブサイト アメリカ版トレンディードラマ [本・映像感想]




銀行強盗キングのジョージクルーニーと連邦保安官のジェニファーロペス、眩しい太陽のマイアミで出会って、雪の舞い散るシカゴで結末をむかえる二人、ありえないけどとにかくかっこいい。窓の外に雪が舞うシカゴのホテルのバーで再会する二人、このシーンは数ある映画の名シーン中でも私にとってナンバーワン。今でも窓から雪景色をみるたびに気分はジョージクルーニー、ジッポいじりながら心の中でジェニファーロペスに話しかけ妄想が暴走状態・・・。しかしジョージクルーニー、リボルバーがよく似合います、フロムダスクティルドーンでもリボルバーかまえてた。今どきリボルバーなんて映画で滅多にみられませんぜ。そしてジェニファーロペス、ショットガンがよく似合います。映画のポスターの横向きのシルエット、しびれました。そしてなによりナンシーアレン、ちょー久しぶり、相変わらずキレイでセクシーでした。80年代からの憧れのおねえさんです。トレンディードラマ部門ナンバーワン、星5つっす。


日常と闇 ~ブルーベルベット~ [本・映像感想]
大人の恋 タランティーノ流 ~ジャッキーブラウン~ [本・映像感想]



ジャッキーブラウン、大好きな映画です。☆☆☆☆☆
激しいバイオレンスはないのでタランティーノ映画としては賛否両論、はじめて観た時には前半から中盤の落ち着いた進行に若干心配もしたりして、タランティーノも普通の映画を撮るのか・・・とがっかりもしたりして。しかし私の大好きなショッピングモールのシーンからパワー炸裂、ドキドキさせてくれました。ジャッキーブラウンのパムグリアー、美しいです。そしてロバートフォスター渋すぎる。大人の恋の切なさがタランティーノワールドとは思えない。後味が・・・しみます。それにしてもあのショッピングモール、観るたびにアメリカに行きたくなります。私の場合、ハワイ・・・カハラモールでショッピング&お茶して過ごしたい。不思議とモールの匂いまでが思い出されてくるんです。星5つ不動。


マイアミ・バイス ソニー・クロケット [本・映像感想]



ソニー憧れの存在です。後のナッシュ・ブリッジスに通じるドン・ジョンソンの原点、全盛期の輝きがあります、うーんカッコいい。ドン・ジョンソン演じるキャラはズバ抜けて強いわけでもなく、超人的なアクションを見せるわけでもなく、等身大のちょっとできる刑事、さらに走るの苦手。でも女性にちょーモテる・・・なんてすばらしい。当時マイアミバイスは中南米系の闇を描いたり、事件も解決を見ぬまま社会の不条理を描いたり、銃器に凝っていたり、リアリティに圧倒されて夢中になって観てました。昨年映画のリメイクにあわせ再放送がありましたが面白さはまったく衰えを知らず、最近の80年代流行りにピッタリ合って古さもカッコ悪さも感じません。映画はまだ観てませんが予告編だけでしびれるくらいにカッコいい、楽しみっす。
涙の女王 冬のソナタ [本・映像感想]



恥ずかしながら今頃はじめて冬ソナ観てます。ブームの頃はそんなデレデレしたモン観てらんねえとか、シュリのほうがいいとか言ってましたが、最近地上波で再放送がはじまって毎回録画してます。最初は散々茶化したりツッコミ入れたり「愛はかげろう」歌ったりしてましたが数回重ねるうちに本気でウルウルくるようになってしまいました・・・クヤシイ。サンヒョクいい加減あきらめろよとかチェリンふざけんなとかチンスク少しは空気読めとか実はユジン策略家か地雷原か・・・とか真剣なツッコミいれてます。しかしチェ・ジウ・・・まさに涙の女王、幸せなシーンなんかどうでもいいって感じです。そもそも幸せが5分と続かないですから本領発揮です。日本で撮ったとしたら誰が合うか考えるんですが思い浮かびません。プレーンな美人で切なさを表現できる女優さん・・・小雪か、と思いましたが迷ったり揺れたりしなさそうだし・・・泣き顔の美しい人思いつかない。そろそろ佳境を迎え、いったいどうやってまとめるつもりなのか・・・韓国ドラマ恐るべし、クヤシイ。
フェイク ジョニー・デップ アル・パチーノ [本・映像感想]


フェイク、大好きな映画です。☆☆☆☆☆
マフィアに潜入したFBI捜査官をジョニー・デップ、組織の中で出世に恵まれず先の見えてきた初老のマフィアをアルパチーノが演じ、二人とも見事です。危険な日々を後ろ盾になってくれたアルパチーノとその他の仲間たち、犯罪組織であってもそこには人の営みがあり苦しみや人情が、そして潜入捜査と実生活の線引きが難しくなっていく捜査官の苦悩を演じたジョニー・デップ見事のひとこと、これですっかりファンになりました。騙されてもまだ彼を信じるアルパチーノも泣かせます。男と男、”お前と組んでよかったぜ”って世界が2時間心地いい。80年代前半の雰囲気もよく出ててこれもいい、キャデラックもカッコいいですぜ。ジョニーの奥さん役のアンヘッシュ惚れました。星5つです。マイベストムービートップ10不動。




















